ブローグ横丁

2017年9月26日 爺の話。

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十年前の夏。

エアコンの壊れた車で当別の山間を走っていると

林の中に傾きかけた茶屋が見えた。

そろりと戸を開けると奥から白髪の爺が現れ、

暑かったろうと麦茶とアイスコーヒーを振舞ってくれた。

何故か唐突にその日のことを思い出し、

たまらず車を走らせてみた。

予想はしていた。

予想はしていたけれど、風雪に晒された茶屋は

無残な廃屋になっていた。

爺もいなかった。

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