スマイル書房

『門』 (新潮文庫)
買い取ってやる度
★★★★☆

漱石流 自分探しの旅...的な。

小説の結末に関しては好みの分かれる所で、
"はっきりさせたい派"か、
"ボンヤリしてても良い派"かに、
だいたい分かれるかと思います。

店番佐藤は断然後者。
もうボンヤリしてればしてるほど良い、みたいな。
結末はどうでも良くて、
行きつく課程が大切、みたいな。
だって、佐藤は村上春樹好きなんですもの。。。

という訳で、
春樹作品を読み尽くし、取りかかっているのが夏目漱石。
佐藤好みのボンヤリさ加減が、なかなか良い感じなのです。

全作制覇まではまだまだですが、何作か読み、一番ぐっときたのがこの『門』なのです。

これは「三四郎」「それから」に続く、
三部作 最後の作品。

さらっと読むと"道ならぬ恋の末路"みたいな感じなのですが、
「それから」から続けて読むと、なんとなく、
宗助(=代助)はお米(=三千代)じゃなくても、
誰でも良かったのかなー...とか思えてきたり。(お米は本気っぽいけど)

友人の妻を奪うということによって、
自分を証明しようとした「自分探しの旅」的な物語ではないかと、
思えてくる訳なのです。

この時代は家督制度により、
家のことは全て戸主が決めていた訳で、

長男は、行く行くは財産etc...の全てを引き継ぐ為の、
大切なお世継ぎ。
しかし次男は、長男+長男の子供が亡くなった(病気で死ぬ率が高いから)時の為の
スペアでしかない。。。

漱石の生い立ちを重ね合わせてみると、
宗助に自分を投影していたのかな...と思わせる、
実に、いとをかし、、、な作品なのであります。

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宗助が参禅しに行った
お寺のモデルとなった鎌倉「長谷寺」。
いとをかしな、お寺でした。