スマイル書房

『死ぬまでに東京でやりたい50のこと』 (株式会社青月社)
買い取ってやる度
★★★★☆

行きたいけど、行かなくていいや。

私は、数えるほどしか
東京に足を運んだことがない。

それも、友人の結婚式に
お呼ばれされるケースがほとんど。

いつも酒を飲むだけ飲んで、
慌ただしく北海道にUターンする。

観光名所に行くことはもちろん
美術や芝居を楽しんだこともなく、
ミッドタウンやkitteでショッピングと
洒落込もうぜ、なんてこともなく、
ましてやギロッポンやザギンで
チャンネーとオイニーがツイキーなど
夢のまた夢(意味不明)。

ま、早い話が東京初心者。

だけど生来の"玄人に見られたい欲"が災いし、
求める情報は上級者向けなのだ。
そんなワケで
『死ぬまでに東京でやりたい50のこと』を
ついに購入してしまった。

本書はタダの東京ガイドなんかではなく、
生粋の江戸っ子も知らないような
ディープな場所へ著者が突撃する。

紹介しているスポットがまあスゴい。

狂気に満ちた店主が踊ったりする居酒屋。
「死ね!」と全力で罵倒されるトルコ料理屋。
謎のロボットショーが展開されるレストラン。
住職と解説員がせめぎあう寺の中のプラネタリウム。
読後は満漢全席以上の胃もたれ感である。

だけど決して怖いもの見たさではなく、
取材対象に本気でぶつかっていることが
伝わってくるのは好感度大。

たとえば、「死ね!」のトルコ料理屋さんの店主が、
なぜそんなに荒々しい接客をするのか
丹念にひもといた記事があり、
理由は意外とグッときたりするのだ。

「東京はもう飽きちゃった〜」なあんて
ちょっぴり鼻につくコメントをされる方にも、
ぜひぜひオススメしたい一冊。

ただ、この本の悪い点を一つだけ挙げるなら、
各所についてかなり詳細にルポされているので、
「ま、行かなくてもいいか」と思っちゃうのだ...。

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